一定期間更新がないため広告を表示しています

メシを食べてるとき、たいていお互いの目線は14型の、今じゃレトロなブラウン管に向かっているわけだが、そんなときの課長は結構おもしろい

全然見てるのに気付かない。ワイドショーのダイジェストに集中してるから
そんなにおもしろいかな。かなり真剣に見てるし

そんなのをじっと見ながら食うけど、やっぱり気付かない
たまにテレビに向かって喋る。俺に言ってるんだろうけど、そういうときはシカト

「番組とかもさ、ヤラセって思いながら見たらおもしろくないよなァ…」
「いい会社入ってて、給料もよかろうに」
「なにが不満であんな奥さん、殺しちゃったりするのかね。」

完全独り言状態。こういうとこ親父臭い、というかオバサンぽい
相槌欲しいならこっち見ればするのに。

反応しない俺の皿を見て「あと一杯分あるから、もう半分食えよ」
食えるか食えないかも聞かずにまだ食いかけの残った皿を強制的にさげられる
微妙。カレーなら多少いけるけど(結構ヘビー。今でも)
せっかく半分以上減ってた皿にがっつりルーがかかったのがまた戻ってくる
湯気だけで嫌(や)になった。昼からこんなに食うか柔道部

同じように盛ってきた自分の皿に容赦なくガツガツスプーンを入れてるのを見て
コメントする気も失せた。人種と胃袋が違う

番組がCMに変わっても、目線は相変わらずテレビに向いてる
ザクザク混ぜて、あとは見ながら口に運ぶだけ
雑誌読みながらだと怒るクセに。これも大して変わらないように思う

変わらず食っては見続ける彼の口元にいわゆる“おべんとう”発見。

あーおもしろいかも。脳内でハードディスクが読まれるときみたいのがカシャカシャいう

俺はこの機を逃がさずカレーをまたいでテーブルに両手で乗り出す
古いテーブルは足の具合の悪さでギシッときしむ

照れ臭さなんか出さない。口元の粒にゆっくりと吸い付いた
チューがしたかったんじゃなくて、あくまで粒を「取ってあげた」といわんばかりに。
口付けたときの、顔の近さにビリビリする

「メシ付いてる」小声で呟いて、また姿勢を戻して座った

とうの彼といえば、さっきまでがっついていたスプーンと止まっている
目線はテレビのまま。可笑しい。リアル・フリーズ

そしてまた静かに食べだした。さっきより若干慎重に
俺はてんこ盛りのカレーには手をつけず、そのまま片手で頬づいてみていた